例えば、有限な財を「所有」という消費の形ではなく「シェア」という形で利用できるようにするためのコラボレーション・サービス・システム。マンジーニはこのコラボレーションのサービス・システムをデザインする上で重要なことは「参加にどれだけの努力が必要か?」という利用の円滑さの観点から見ています。その上でサービスデザインを行なうデザイナーの役割は、利用者の「必要な努力レベルを下げることで、ユーザーの意志の力にかかわらず、システムが目的を達成できるようにすること」だとしています。
ここでマンジーニが指摘している「利用の円滑さ」は、サービスがビジネスとして持続可能であるためには非常に重要な視点です。サービスを維持するためには、利用者も含めたシステム全体が存続していることが必要です。サービスプロバイダー側からみれば利用がある程度見込めるよう、システムをデザインしておかなくてはビジネスそのものを維持することはできません。例えば、Zipcarに代表されるようなカーシェアリングのサービスであれば、いつどこでどんな車をユーザーが利用したいと思うかを把握でき、かつ、そのとおりに車を配置できるようなシステムは求められます。
一方、利用者の側から見れば、利用した結果そのものは魅力的でも、利用する過程で過剰な努力が必要なサービスでは使ってみる気にはなれません。タクシーに乗れば楽なのはわかっていても長時間並ばなくてはいけないのであれば、利用するのに努力が必要です。同じくZipcarの例でいえば、iPhoneアプリでいつでも利用可能な車の位置を確かめ、予約でき、かつ、そのアプリ自体が車のキーになるような、努力のいらいない利便性がサービスの利用価値を高めます。サービスプロバイダー側からすると、こうりた利用者の利便性に配慮したシステムデザインをせずに、利用者の努力に期待していたのでは、競合のサービスにユーザーを取られかねません。サービスをサステナブルなものにするためには「利用の円滑さ」はシステムデザイン上、解決しなくてはいけない大事なテーマなのです。
"